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外出禁止令から4週間、米西海岸の小売店はどうやって生き抜いている? - Impress Watch

米サンフランシスコ市内にあるチェーンではない地場のスーパーマーケット「Cal-Mart」。全員ではないがマスクをしている人が多く見られ、6フィート(約1.8m)のソーシャルディスタンスを維持している(写真提供:Stania Zbela)

日本で7都府県を対象とした緊急事態宣言による外出自粛がスタートしており、11日からは東京都などで施設への休業要請も行なわれる。それに先立つ3月16日に「Shelter-in-order」(屋内退避)を発令した米カリフォルニア州サンフランシスコ(SF)ならびに、その周辺地域を含むSFベイエリアでは、前例のない外出禁止令のなか、それぞれが手探りでやり過ごす道を探っている。

SFベイエリアの場合、基本的にスーパーやドラッグストアなどへの買い物と、運動不足を解消するための散歩以外での外出を禁止するという、米国の中ではやや緩い内容になっている(後に緩かったルールが若干見直されたと聞いている)。ただし、外出の際には相手と互いに6フィート(約1.8m)のソーシャルディスタンスを維持し、他人の家や建物内など、1カ所に集まることを推奨していない。また建物内の人数制限も厳しく規定されており、例えばレストランなどでのイートインを前提とした営業は許可されない。一方で酒類の提供方法が限られたことから、これまで夜間は禁止されていた酒類の販売制限が一時的に緩和されるなど、ルールに柔軟性を持たせる動きもみられる。

今回は外出禁止令から4週間が経ったSFベイエリアにおいて、小売店がどのように工夫を凝らすことで生き延びているのか、現地の友人らの協力を得て紹介したい。

飲食店の生き残りはデリバリー対応が鍵に

もう1人、今回の取材に協力いただいたのはSFベイエリアでも南側に位置する米サンノゼ在住のkikidiary氏だ。外出禁止令が発動された直後は外出の制限や範囲が分からず、買い物や食事の方法にも難儀していたようだが、現在ではストレス解消も含め数少ない楽しみである弁当購入のバリエーションも増え、厳しい状況下でも日々の家族との生活と在宅勤務をこなしている。

同氏が今回お勧めだと教えてくれたのが「Dan Izakaya」という米サンノゼの居酒屋レストランのテイクアウト用弁当。鮭いくら丼、うにいくら丼が美味しいという。名前からもわかるようにランチと夜の居酒屋営業のレストランだが、現在はサンノゼが属するサンタクララ郡の規制に従い、多人数がお店に入れないようにレイアウトが変更され、座席はすべて机の上に置かれて店内での食事は不可能になっているようだ。これはDanに限らず、多くのレストランが規制に合わせて基本的に客が1人しか入れない運用になっており、レジまたはカードリーダー端末が入り口付近に配置変更され、基本的には入り口またはお店に入らない形で会計を済ませるようになっている。注文はサンフランシスコ同様事前に行なうシステムで、電話で注文しておいてピックアップか、DoorDashのようなデリバリーサービスを活用することになる。

Dan Izakayaという米サンノゼの居酒屋レストランのテイクアウト用弁当。鮭いくら丼、うにいくら丼が美味しくてお勧めだという(写真提供:kikidiary)
Danのテイクアウト用メニュー。基本的にDoorDashでのデリバリー注文か電話での事前オーダーによるピックアップ対応となっている(写真提供:kikidiary)

同氏によれば、今回のシステム変更で米国特有の文化である「チップ」がない関係上、本来提供されるサービスの代わりにピックアップ用のお弁当には創意工夫が凝らされており、それが美味しく見えるようにしたうえでFacebookなどで積極的に宣伝を行なってお客を呼び込んでいるとのこと。本来であれば店内で紹介するような内容が、入店制限やピックアップ対応により宣伝機会を失っているため、リピーター向けにFacebookなどのSNSを活用しだしているという点で興味深い。

Danをはじめ、イートインができなくなった各レストランでは創意工夫を凝らし、Facebookなどでこのように新メニューを宣伝しながら顧客にアピールを繰り返している
これはDoorDash対応を行なったときの投稿。これによりピックアップだけでなく、デリバリー提供のオプションが増えた

ここで鍵の1つとなりそうなのがDoorDashの存在だ。米国でこの手のサービスといえば日本でも人気のUber Eatsを想像する方が多いかもしれないが、最近の米国ではこれにGrubHubも含め、DoorDashが一番人気の地位を得ているという。

そのため、今回の急な閉鎖騒動でレストラン各社がデリバリー対応を行なう場合、このDoorDash対応が重要になっているようだ。「意外なお店までデリバリーやピックアップにも対応してます。例えば、IHOPとか」(kikidiary氏)ということで、これまでイートイン専門だった大手チェーンでもDoorDashを通じてデリバリーを提供するケースが増えているようだ。

米国で熾烈な競争を繰り広げているデリバリーサービスだが、DoorDashが最大手として抜きん出たのはつい最近のこと。今回のロックダウンではDoorDash対応が1つの鍵になっているようだ
筆者を含め、一部に大人気のパンケーキレストラン「IHOP」だが、ここもDoorDash対応で自宅で楽しめるようになった

もう1つ気になっていたのが「現金」の取り扱いだ。以前に別誌のコラムでも触れたが、米国では東海岸の一部で飲食従事者が直接現金に触れることを禁止する通達が行なわれているケースがあり、極力クレジットカードやデビットカードを用いるか、オンラインオーダーを活用し、それでも難しい場合は手袋などを用いて対応するという話だった。

だが今回2人の話を聞いている限り、特に現金を特別扱いする措置はSFベイエリアでは行なわれておらず、逆に現金のみ扱うというケースも少なからずあるという。衛生対応では前述のように多くの店舗で店員がマスク着用を遂行しているほか、6フィートのソーシャルディスタンス維持で乗り切っているようだ。

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April 10, 2020 at 03:15PM
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