「Yelp(イェルプ)」は、アメリカで始まったローカルビジネスの口コミサイトであり、月間で2,800万人もの人がサイトを訪れる。同サイトに掲載される店はレストラン、家事代行サービス、ビューティーサロンなど多岐にわたり、ユーザーは10代から50代以上までバランスよく分布している。
そんなYelpは2020年10月、掲載店舗のオーナーや従業員が人種差別的行為で人々の注目を集めた場合、その店のページで「人種差別的行為で告発された事業者(Business Accused of Racist Behavior)」と警鐘を鳴らす、アラート機能を追加した。このアラートを出すことができるのはYelpの運営チームだけであり、アラートを出す際にはその判断の根拠となるニュース記事へのリンクを張るという。「人種差別は許さない」という、同社の毅然とした態度が示される措置だ。
このアラートは、同社がBLM運動など社会運動の高まりを受けて導入した「注意アラート(Public Attention Alert)」の延長線上にあるものだ。Yelpでは5月26日から9月30日にかけて、BLM運動に関連した人種差別的行為があったとして、450店以上のページに注意アラートを出したという。そのなかでも特に露骨な人種差別的行為をとった店には、「人種差別的行為で告発された事業者」というアラートが出される。
Yelpは6月に、店側がサイト上で「黒人経営」だと自己申告できる機能を追加するなど、黒人コミュニティの支援に積極的に取り組み、さらに黒人コミュニティの人々にとって安心してお店が利用できる環境をつくっている。ユーザーはサイトで黒人経営の店を簡単に検索できるようになり、今夏には黒人経営の店についたレビューが昨夏と比べて617%以上増加した。
サイトではこういったポジティブな動きが見られる一方で、掲載店舗によっては「人種差別的行為があった」とのレビューがつくケースも増加していたという。人々が人種差別に一層敏感になるなか、Yelpはサイトの安全性および信頼性を維持するため、信頼できるメディアの報道に基づいた対策に乗り出した。
Yelpは「すべてのレビューは、その店での体験に基づいたものでなければならない」というポリシーを掲げるサイトでもある。これはフェイクレビューを減らすための重要な方針であり、ユーザーがメディアの報道に基づいたレビューを投稿することも認めていない。
ユーザーが掲載店舗で人種差別に遭うことはあってはならないし、店側が根拠のない噂により風評被害を受けることもあってはならない。どのようにして双方の折り合いをつけるのか、そしてプラットフォームがどこまで介入するべきなのか、Yelpは舵取りの難しい局面を迎えている。
【参照サイト】 New Consumer Alert on Yelp Takes Firm Stance Against Racism
Edited by Erika Tomiyama
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November 11, 2020 at 06:02AM
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