小島寛明の「規制とテクノロジー」 第68回
昼食の時間帯が近づくと、決まって開くスマホのアプリがある。「食べログ」だ。
昼前に新橋にいれば、「新橋 ラーメン」などその日の気分で食事のジャンルと地名で検索する。
月額400円のプレミアムサービスにも登録しているので、検索結果として評価の高い店がランキングで表示される。
このランキングで評価の高い店の中から、おおむねその日の昼食が決まる。昼時の筆者の行動は、かなり食べログの影響下にあると言っていい。
そんな食べログに代表されるグルメサイト(飲食店ポータルサイト)の取引実態を、公正取引委員会が調査し、3月18日に報告書を公表した。
報告書は「飲食店に対し取引上、優越的地位にあるといえる飲食店ポータルサイトが存在する可能性は高い」と指摘している。
そうなると、店も来店客である筆者も飲食店ポータルサイトの影響下にあることになるが、どんな実態が浮かんだのだろうか。
●拡大するグルメサイト市場
調査は、2019年4月から2020年3月の1年間。食べログ、ホットペッパー、ぐるなび、Rettyといった国内のグルメサイト、飲食店や消費者などが調査の対象になった。
グルメサイトの市場規模は現在、拡大傾向にある。
公取委が公表した「飲食店ポータルサイトに関する取引実態調査報告書」によれば、グルメサイトののべ加盟店数は2017年末には57万店だったが、2019年3月末時点で69万店に拡大している。
グルメサイトを通じてネット予約が可能な店も、2017年の15万店から、2019年には20万店に増えた。
●高額プランの店は優遇
加盟店とグルメサイトの間には、複数の契約プランがある。報告書は、契約プランにより、グルメサイトと加盟店の関係を次の4つに分類している。
1.高額の有料プラン
2.低額の有料プラン
3.無料
4.加盟店以外
当然ながら、高額の有料プランを選択した店は優遇される。ただ利用料が月額10万円を超える事例もあるという。
グルメサイト上に店が表示される順位は、高額、低額、無料、非加盟店の順だ。非加盟店が掲載されるのは、来店者らが自発的に店の情報を投稿した場合だ。非加盟店の情報を載せていないグルメサイトもある。
のべ20万店が利用しているグルメサイト上のネット予約機能や、クーポンなど割引情報の掲載は有料プランで提供されるサービスになる。
高額のプランを選択すると上位に表示される仕組みについて、報告書は広告との類似点を次のように指摘している。
「消費者の目につきやすい場所に表示されることが重要な広告枠の取引と類似の側面を有している」
●店の評価は単純平均とは限らない
来店者による評価の仕組みについて、報告書には気になる記述もある。
店の評価は5段階評価が多く、食べログをよく使う筆者の感覚としては3.5点以上の評価点がついていると、「たぶん、けっこうおいしいのだろう」と期待して店に行く。
ときどき外れることもあるが、3.5点をひとつのラインにすると、あまり外れないというのが実感だ。
一方で報告書によれば、来店者がつけた評価を単純に平均しているサイトもあるが、来店者の評価を独自のアルゴリズムで再計算しているサイトもあるという。
報告書は具体的なアルゴリズムの中身にまでは踏み込んでいないが、店が選んだプランが評価点にも影響するのであれば公平性を欠くと言わざるを得ない。
サイト間の競争の根幹に触れる部分だけに、アルゴリズムの中身までは公表できないのは理解できるが、単純平均のサイトには「うちは単純平均です」とどこかに明記してほしい。
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